研究概要 |
(1)同一港湾内施設の被災確率の相関に関する検討の一環として,1995年兵庫県南部地震における神戸港の被災事例をもとに,隣接するケーソン間の相対変位を評価する手法を提案した.これにより,1)各ケーソンの変形量は,ケーソン同士の距離が近いほど相関性が強く,距離が離れるほど相関性は弱くなる傾向にあることを確認し,2)距離に応じた自己相関係数を与えることで,相関性を考慮したケーソン間相対変位の推定が可能となる手法を提案した.さらに,3)提案手法を用いて,1995年兵庫県南部地震におけるポートアイランドの被災事例について,許容最大相対変位と被災確率,およびバースの長さとの関係を示した.これにより,クレーンレール等の設計において許容被災確率などの確率論的な取り扱いを可能となる. (2)前課題の研究期間中に開発した国際海上コンテナ貨物を対象とした経済被害の推計システムに関して,データを最新年度に更新するとともに,貨物の特徴(実入り・空別,輸出入別,相手地域別)に応じた被害額推計の算出が可能となるように改良を行った.また,同一港湾内において被災バース数が変化する際の被害額の変化について考察を行った. (3)港湾施設被災時における国際輸送市場変化を計測するため,研究代表者らによって開発中である(平常時の予測を目的とした)国際物流モデルの改良方法について検討し,被災時における簡単な試算を行った.
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