研究課題
バイオインフォマティックスの手法を用いてヒトゲノム中のMAR/SAR領域を推定し、生化学的手法によってこの領域が遺伝子の発現制御機能とどのように関連しているかを証明することを目的とした。これまでに多くの遺伝子のMAR/SAR領域を推定してきたが、その推定プログラムの信頼性が確保できたため、実際の遺伝子に焦点を当て、核マトリックス蛋白質P130と遺伝子発現との関連について調査することにした。本年度は、転写因子としてNF-κBが関与するP-糖蛋白質遺伝子に焦点をあて項目1〜3を実施することにした。1.P-糖蛋白質遺伝子のMAR/SAR領域とNF-κB結合領域の推定我々はすでに、薬物代謝、薬物排泄ポンプ、細胞周期、酸化ストレスなどの機能に関与する遺伝子のMAR/SAR領域を推定しており、本年度は薬物治療に重要な薬物の排泄ポンプとしての機能を示すP-糖蛋白質遺伝子に焦点をあて、その遺伝子の発現機構について解析することにした。まず、ヒトゲノムDNAの配列情報からバイオインフォマティックスに基づいた解析方法に従って、P-糖蛋白質遺伝子のMAR/SAR領域と転写因子NF-κB結合コンセンサス配列を推定した。その結果、P-糖蛋白質遺伝子には3種類のMAR/SAR配列とNF-κB結合コンセンサス配列の存在が確認できた。2.NF-κB結合領域の同定転写上流5000塩基の領域からNF-κB結合部位を以下の方法で同定した。抗NF-κB抗体を用いたクロマチン免疫沈降(ChIP)による同定抗NF-κB抗体によるChIPアッセイで得られた画分に含まれるDNAを、あらかじめ設計したプライマーを用いて領域を絞り込み、上流4kおよび1kの2ケ所に結合していると考えられる領域を明らかにした。現在、結合部位をフットプリント法で解析中である。3.MAR/SAR領域の推定とP130およびNF-κBとの相互作用MAR/SAR推定領域に相当するプライマーセットの設計とともに、以下の方法で相互作用を検討中抗P130抗体を用いたクロマチン免疫沈降(ChIP)による同定抗P130抗体によるChIPアッセイで得られた画分に含まれるDNAを、あらかじめ設計したプライマーを用いて領域を絞り込み、NF-κBの存在について確認中である。また、そのカウンターパートを実施中である。
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Journal of Pharmacological Sciences 104
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