研究課題
基盤研究(C)
我々は、核マトリックスがゲノム機能を支える基盤として、遺伝子の発現、すなわち生命現象の機能発現と密接に関連していると考え、これまでに数百に及ぶ遺伝子についてMAR/SAR領域を同定してその機能を明らかにしてきた。その方法は、The Human Genome Database (GDB) (Future et al. 2000; http::/ gdbwww. gdb.org/)より得たヒトゲノム情報を用いて、MAR/SAR領域検索プログラム[MARFinderあるいはSMARTest (Friscm et al. 2002; http://www.genomatix. de/cgi-bin/smartest pd/smartest.pl)]による候補領域の推定後、実験的にその存在を証明して同定することができた。一方で、この実験で用いたプログラムの信頼性を高く評価することも可能となった。今後、残された遺伝子に関するMAR/SAR領域の同定には、このプログラムを原則として用いる点で有用性があるとの結論に至った。一方、核基質足場タンパク質(P130/MAT3)とMAR/SARとの相互作用を通して"細胞核のダイナミクス"を解析するために、種々の機能タンパク質の関与を調査した。1.P-糖蛋白質遺伝子の転写因子結合領域の推定P-糖タンパク質遺伝子のMAR/SAR領域と各種転写因子結合コンセンサス配列を推定した。その結果、P-糖タンパク質遺伝子には3種類のMAR/SAR配列とNF-κBを含む種々の興味深い転写因子の結合コンセンサス配列の存在を確認した。2.NF-κB結合領域の同定抗転写因子抗体を用いて、NF-κBなどの結合部位を転写上流5000塩基の領域内で同定した。また、多種類の因子の結合領域を同定した。3.MAR/SAR領域の推定とP130/MAT3および種々の転写因子との相互作用抗P130/MAT3抗体を用いたクロマチン免疫沈降(ChIP)によりそれらの相互作用を検討し、極めて巧妙な調節制御を確認した。即ち、将来的にMAR/SAR領域のエピジェネティクス解析が、遺伝子発現制御に重要な知見をもたらす可能性があるとの結論に至った。本研究計画は、いわゆる塩基配列としての遺伝子の発現調節領域(MAR/SAR)を同定する"ゲノム構造研究"と、 MAR/SARと相互作用する核基質足場タンパク質の機能解析を通して細胞核の機能を解明する"細胞核のダイナミズム研究"が融合したプロジェクトであると判断した。
すべて 2009 2008 2007 2006
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件) 学会発表 (11件) 図書 (5件)
Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science 61
ページ: 119-127
Jap. J. Complement. Alter. Med. 5
ページ: 153-162
ページ: 209-218
J. Phamacy Pharmacol. 60
ページ: 1659-1665
Biological & Pharmaceutical Bulletin 30
ページ: 1535-1540
Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science 60
ページ: 249-255
Journal of Pharma- cological Sciences 104
ページ: 137-145
Journal of Pharmacological Sciences 103
ページ: 383-390
Journal of Health Science 53
ページ: 77-83
Biochim. Biophys. Acta. 1759
ページ: 195-207
Gene 367
ページ: 46-55