生物活性天然物の立体化学は、生物活性の本質の解明や医薬農薬開発への応用開発などに必要不可欠な情報である。一方、強力な生物活性を有し医薬品等各方面への開発が期待されながら、希少な天然物が存在する。これらは希少さ故、構造情報が平面構造ないし部分的な相対配置に留まる場合が多い。また、希少さの克服は、合成供給に求められるが、前提として合成化学的な立体構造の解明が必要となる。本研究では、大環状ポリエーテルマクロライド天然物を対象とした、部分構造マクロサイクル化・NMR比較による大環状化合物全体の立体構造を推定する方法論の創出を目的とする。また、最終的に全合成により全立体化学を確認して方法論を実証する。平成18年度は、強力な生物活性を持つ一方で立体構造が道のマクロライド天然物のゴニオドミンA(GDA)を具体的な標的化合物として検討を加えた。現在までにGDAのBC環部の合成法を開拓し、すでに相対立体化学が明らかなA環と連結して、ABC環部の可能な3つのジアステレオマーをそれぞれ立体選択選択的に合成した。天然物のNMRとの比較により、相対配置に関する知見を得ることが出来た。さらに、別途マクロサイクル化・NMR比較で相対立体化学を推定したDE環部とABC環部の連結を検討した。また、ABCDE環部をマクロサイクル化して天然物とNMRを比較する事により、天然物の相対配置を確認すべく、予備的検討を行った。
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