研究課題
植物環境応答研究では主に、個体全体や、組織レベルでの代謝変動や遺伝子発現パターンの追跡に終始しており、個々の細胞で生じている応答のいわば"静的な平均"しか見てこなかった。しかし、環境応答メカニズムの全容を捉えるには、一細胞に基礎を置き遺伝子発現を含めた代謝産物の様態を正確に把握することが必要である。本研究ではエキシマレーザーを用いた一細胞操作技術および、超微量細胞内成分の分離に適したマイクロHPLCシステム駆使し,植物が微生物感染や物理的刺激を受けた場合の個々の細胞応答に関し、遺伝子を含めたケミカルシグナルの伝播の様態をオンサイトで観測することにより、当該領域に新知見をもたらすと共に、植物細胞における細胞間情報伝達の解析に新しい研究手法を提示することを目的としている。平成19年度は、レーザーを用いた特異的細胞への物理損傷誘起と、障害シグナルの細胞間伝播解析を行った。レーザー照射強度をコントロールすることにより、細胞壁、細胞膜を貫通する細孔を開け、人為的に特定細胞へ細胞損傷を引き起こすことができる。本実験項目では、損傷を与えた細胞とその周辺細胞において昨年度確立した技術を用いて、1細胞定量RT-PCR,感染関連酵素活性のマイクロアッセイ法,NanoLC-MSやNanoCE-MSをにより関連化合物の定量を行い障害シグナルの細胞間伝播、周辺細胞で生じる代謝変動さらには、感染応答とのクロスリンクについて知見を得た。
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Journal of Bioscience and Bioengineering (印刷中)
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