研究概要 |
アポトーシスの誘導による癌細胞の細胞死を誘導することでその除去を目的とし、最終段階で働くcaspase-3とDNA分解酵素であるDNA断片化因子に光応答性分子を組み込み、光照射によって活性化することで人工的なアポトーシスの誘導を検討した。光分解性の2-nitrophenylglycine 4, 5-dimethoxy-2-nitrophenylglycine (DMNpg)をDNA断片化因子の阻害タンパク(ICAD)の切断位置に導入し、DNase活性の光照射による発現の高効率化を目指した。ヒト由来DNA断片化因子ICAD/CADを細胞外翻訳反応によって発現した。ICADとCADのcDNAからウサギ網状赤血球細胞抽出物を用いた細胞外転写翻訳反応で発現・精製し、caspase-3で反応させると高いDNase活性が見られた。次に、ICADの切断位置にDMNpg基の導入を拡張コドンと細胞外翻訳反応によって行った。ICAD/CADの共発現系でDMNpgを導入し、DMNpg-ICAD/CAD複合体の合成が50-60%の高収率で行なえた。精製した光機能化DNA断片化因子へ光照射を行うとICADの分解が起こり、光機能化DNA断片化因子複合体への光照射によって、DNase活性の発現を行えることを見出した。さらに細胞内導入のためにHIV由来のTAT配列の導入した光機能化DNA断片化因子を合成した。これによって細胞導入と光照射によるアポトーシスの誘導を検討する。
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