骨芽細胞増殖効果および破骨細胞抑制効果といった骨形成促進効果に対して有意な効果の見られる棘皮動物由来のスフィンゴ脂質について、試料動物より抽出、分離を行った。試料動物としては沖縄にて採集されたアオヒトデ(Linckia laevigata)の他、ヒトデと同じく棘皮動物に属するナマコ類である瀬戸内産のマナマコ(Stichopus japonicus)、沖縄にて採集されたバイカナマコ(Thelenota ananas)を用いた。 各試料動物をクロロホルム・メタノール混液で抽出し、それを減圧溶媒留去して得られた抽出エキスを水と酢酸エチル・ブタノール混液で分配した。得られた酢酸エチル・ブタノール層は濃縮後にアセトン処理をして可溶部((1))と不溶部((2))に分けた。水層についてはさらに水飽和ノルマルブタノールにて分配・濃縮し、ブタノール画分((3))と水画分に分画した。水画分については透析後内液を逆相カラムクロマトグラフィーに付し、メタノール/水の溶媒グラジエントにより溶出させ、100%メタノールおよびクロロホルム・メタノール溶出部を合わせて高極性脂質画分((4))とした。セラミドは(1)、セレブロシドは(2)、セラミドラクトシドは(3)、ガングリオシドは(4)に存在していると考えられる。現在、それぞれの画分より目的化合物の精製を行っている。 また、これまで構造研究を行っていた棘皮動物ヒトデ類ヤツデスナヒトデ(Luidia maculata)のセラミドおよびナマコ類グミ(Cucumaria echinata)のガングリオシドについては論文投稿し、掲載された。
|