研究概要 |
ラメラリンは、14-phenyl-6H-[1]benzopyrano[4',3':4,5]pyrrolo[2,1-a]-isoquinolin-6-oneを基本骨格とする多環性海洋天然物である。現在までに基本骨格上の水酸基およびメトキシ基の位置が異なる30種以上の天然物が単離されている。これらの多くが強い細胞増殖抑制作用を示すことが知られており、ラメラリンは新規抗がん剤のリード化合物として注目されている。1993年、Baillyらはラメラリンによる細胞増殖阻害の主要な作用機序がトポイソメラーゼI阻害であることを報告した。また、我々はBaillyらとの共同研究によりラメラリンD-DNA-トポイソメラーゼI複合体の理論モデルを提案した。このモデルに基づき天然物を凌駕する活性を持つラメラリンアナローグを設計・合成することが本研究の目的である。 平成18年度においては、ラメラリンの平面5環性骨格のDNAへのインターカレーションを妨害していると考えられた1位アリール基を除去した1-デアリールラメラリンDの合成法の検討を行った。その結果、N-ベンゼンスルホニル-3-プロモピロールを出発物質として8段階で1-デアリールラメラリンDの合成に成功した。また、1-デアリールラメラリンDの保護前駆体の求電子置換反応が、1位で選択的に進行する事を見いだした。今後は、この手法を利用して多様な1位置換-1-デアリールを合成し、in vivoでの活性を評価する予定である。
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