研究概要 |
(1)ポリケタイド合成酵素を用いたアルカロイド骨格の創出 ダイオウ由来ベンザルアセトン合成酵素(BAS)は、1分子のクマロイルCoAと1分子のマロニルCoAとの縮合によりジケタイドを生成するIII型PKSである。BASに、アントラニルCoA(又はN-メチルアントラニルCoA)、及び、マロニルCoA(又はメチルマロニルCoA)を同時に作用させることにより、4-ヒドロキシ-2-キノリノンが単一生成物として高収率で得られることを見出した。また、メチルマロニルCoAのみを作用させた場合にも、3分子縮合による非天然型ラクトン化合物を生成することも見出した。一方、BASにおいて特徴的に置換されている活性中心アミノ酸残基Cys^<197>、及び、Gly^<256>,Ser^<338>に部位特異的変異を導入した。その結果、S338Vの導入でベンザルアセトン生成能が2倍に改善されること、また、C197Gでは活性が劇的に変化し、ペンタケタイド5,7-dihydroxy-2-methylchromoneを生成することなどを見出した。 (2)ポリケタイド還元酵素の探索と機能解析 キダチアロエより得られたオクタケタイド合成酵素(OKS)は、8分子のマロニルCoAを縮合する新規III型PKSである。しかし、これら代謝産物が植物より単離された報告はなく、従って、OKSは、本来還元酵素(PKR)などの共存により、アンスロン配糖体の生合成に関与する可能性も考えられた。そこで、CHSとの相互作用によりデオキシカルコンの生合成に関与する既知のマメ科由来PKRの保存アミノ酸配列に基づき、キダチアロエ根より、RT-PCR及びcDNAライブラリースクリーニングを行った。その結果、これまでに新規PKRクローンの単離に成功した。結晶構造に基づく分子モデリングの結果、活性部位構造が予測された。
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