研究概要 |
H18年度は、独自に開発したスクアリン酸(SQ酸)含有アミノ酸(ASQ)をペプチドへ導入する方法を確立し、ASQ含有ペプチドの機能と役割を明らかにすることを目的として、3つの課題(あ)ASQ含有オピオイドペプチド合成法の確立、(い)エンケファリンアナログのコンホメーション評価、(う)エンケフェリンアナログの活性評価、に取り組んだ。その結果、スクアリン酸ジエステルとN-Z-グリシンエステルとの縮合反応によって得られる,ヒドロキシブテノン体から出発し,1)N末からのアミノ酸伸長,2)シクロブテノン体への変換,3)脱炭酸反応,4)Sq基末端からのアミノ酸伸長を行ない,ロイシンエンケファリンの2および3番目のグリシン部位を置換したペプチドを合成した。あわせてN末のチロシン部位を置換したアナログを合成した。これらエンケファリンアナログのコンホメーションをDMSO中での温度可変^1H-NMRによるアミド水素の交換速度(ケミカルシフト値の変化(Δδ値))の温度依存性より見積もったところ,分子内の水素結合形成の関与がほとんどないことが確認できた。NOESY測定による隣接水素間の距離情報も前述の結果を指示した.また、本解析からスクアリン酸アミドは回転異性体の混合物として溶液中で存在し、トランス型を有利な配座としていることが確認できた。現在、オピオイド受容体への結合活性試験の結果を解析しており,ASQ含有ペプチドの生物活性に及ぼす機能を明らかにしてゆく予定である.
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