研究課題/領域番号 |
18510200
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研究機関 | (財)サントリー生物有機科学研究所 |
研究代表者 |
村田 佳子 サントリー生物有機科学研究所, 研究員 (60256047)
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研究分担者 |
岩下 孝 (財)サントリー生物有機科学研究所, 研究員 (00150144)
難波 康祐 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (50414123)
馬 建鋒 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (80260389)
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キーワード | ムギネ酸 / 鉄 / オオムギ / トランスポーター / アルカリ土壌 / ファイトシデロフォアー |
研究概要 |
オオムギのムギネ酸鉄錯体特異的トランスポーターHvYS1と選択性の低いトウモロコシのZmYS1のKpnI,Bg/II制限酵素サイト間を入れ替えたキメラ体を作成し、アフリカツメガエル卵母細胞に発現させ、輸送活性を測定した。その結果、入れ替えた部分に活性特異性が依存することが分かった。このうち20アミノ酸ペプチドのCDを測定した結果、AGARDIRプログラムの推定どおり、HvYS1はZmYS1と異なり、α-ヘリックス構造を有していることが分かった。この2つのトランスポーターの相同性の低い6番目と7番目の膜外ループが基質特異性に関与していることを初めて証明した(FEBS Lett.5814298-4302(2007))。この研究成果により、ムギネ酸鉄錯体トランスポーターの基質特異性に関与するアミノ酸配列が分かれば、土壌や植物によって特異性の違うトランスポーターを発現させることが可能になり、地域と目的に合わせたトランスジェニック植物の作成は食糧問題、緑化問題の解決にもつながる。 また、イネ科植物が鉄獲得機構に利用しているムギネ酸類は有効なキレート化合物であり、植物の鉄輸送機構の解明にも必要な化合物であるが、天然のオオムギやコムギから精製するのは非常に時間と労力がかかる。また、既報合成方法では、費用と手間がかかるわりには、収率が悪い。ムギネ酸類の効率的な大量合成法を確立し、またムギネ酸の2'水酸基の立体配置が活性に関与しないことを明らかにした(Angew.Chew Int.Ed.467060-7063(2007))。このことにより、鉄錯体輸送機構解明への研究が可能になるとともに、関連化合物の医薬、農業、健康食品などへの応用へと展開できる可能性が生まれた。
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