研究課題
基盤研究(C)
アライグマについては、蛔虫の検査を約400個体について実施し、また、これまでに登録された約1700個体の目録が刊行された。この動物の消化管寄生性蠕虫の疫学とトリヒナについての業績が刊行、あるいは受理された。この他の外来種としては、ミシシッピアカミミガメにおける線虫を指標にした解説が出版された。在来の野生種の調査として、日本列島の野ネズミ類とその線虫をモデルとした継続研究を行った。今年は伊豆諸島の報告を刊行し、さらにこれまでの報告をまとめ、GISや類似度の比較などを行っている。また、ヒグマにおけるマレー鉤虫Ancylostoma malayanumの寄生事例報告が出版され、さらに、奈良公園のニホンジカについても疾病関連の予備的な調査がまとめられた。線虫寄生は全般的に栄養状態が貧弱なこの公園の個体群に、相当の負担をかけていることが推測された。海獣類については、襟裳および根室で混獲された個体とシャチに認められた寄生線虫の報告を刊行した。鳥類では今後、線虫検査を行う予定の1000個体の目録を刊行した。英国動物園で再導入のために繁殖させていたヨーローッパヤマネが、連続的に死亡し、その死亡個体からハツカネズミ由来の高病原性の毛様線虫が多数発見された。これは、外来種であるハツカネズミが介在した飼育希少動物への寄生線虫感染事例として、我が国の同様な試みでも参考になるが、その論文が公表された。かつでは普通種であり、人々にも親しまれたヨーローッパヤマネが、急激に姿を消していることから、自然保護施策のシンボルになっている。日本野生動物医学会から評価され「寄生蠕虫症センター」の指定を受けた。これは、道内を含む国内動物園・水族館からの検査依頼の急増をもたらした。たとえば、南米から直輸入され、某大都市の施設で展示された動物の糞便に、大量に蠕虫類が排出されるという相談を受けた。虫体検査後、Baylisascaris属線虫と同定され、その対処を指導した。線虫症の類人猿の健康管理として、市販キットを用いた尿中8-OHdG量測定に基づく予備的な研究を試みた。非侵襲性サンプリングなので意義深い。ペット爬虫類を中心とした標本カタログが刊行された。
すべて 2006
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