研究課題
外来種化したミンクとジャワマングースについて検査を開始した。前者ではStongyloides属とSoboliphyme属の線虫が認められた。特に、後属はこれまで国内ではトガリネズミやヒミズなど食虫類での記録はある。ロシアおよび北米のイタチ類ではS. baturiniとS. sahalinensisが知られこれらと比較検討中である。淡水産無脊椎動物(中間宿主)を摂食、感染したものであろう。英国外来種ハイイロリスではノミ類Orchopeas howardiと線虫2種(属TrichostrongylusおよびStrogyloidesが得られた。原産地では毛様線虫類Citellinema, Heligmostrongylus, Sciurodendriumが知られるが、T属は初めてであった。特に、T. retortaeformisに類似することから、ウサギ類からの偶発寄生かも知れない。しかし、今回得られたStrongyloides属はSciuris属を好適宿主とするS. robustusで、キタリスにも寄生していた可能性もある。ロシアからアラスカにかけ採集したレミング(Dicrostonyx torquatusとD. groenlandicus)の毛様線虫Heligmosmoides属はアカネズミ寄生のH. kurilensis形態近似種で新たな展開となった。輸入サル類は法定検疫が課せられているが、医用カニクイザルMacaca fascicularisの剖検で舌虫類被嚢幼虫、裸頭条虫、オンコセルカ亜科糸状虫などを経験した。僅かな経験であったが、輸入カニクイザルには原産地の寄生虫が保有されていたことは保全医学的な問題と指摘された。
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