1.沖縄県西表島・渡嘉敷島・瀬底島において、サンゴの回復・復活を促進するといわれているブダイ科魚類の生息状況調査を実施し、もっとも個体数が多かった西表島北部でのみ産卵場所が確認できた。また、摂餌行動の観察により、ほとんどの種が微小藻類の生えた死んだサンゴの骨格(石灰岩)をかじっており、サンゴの生きている部分をかじる行動は目撃できなかった。 2.西表島北部の礁縁が沖に突き出した場所において、ブダイ科13種が産卵していることを確認した。 産卵時刻は種によって異なり、遠くの摂餌場所まで移動する種は早朝に産卵し、近くで摂餌している種は満潮時刻に合わせて産卵していることを明らかにした。一方、同じ場所で同じく藻食性のニザダイ類は主に夕方産卵しており、その理由についても分析中である。 3.西表島において、小サンゴの成長・生存に対する藻類の影響及び藻類を食べる魚類の影響を、ケージ囲い実験で調べた。この調査地では、ブダイ類のみならずニザダイ類も藻類食者として小サンゴの成長・生存に重要な役割を果たしていることが明らかになった。 4.西表島と瀬底島において、サンゴに対する魚類によると思われる食害の影響を調査した。枝状ミドリイシ類では、枝先を捕食された小群体は成長が低下することが明らかとなった。一方、塊状ハマサンゴ類では、ブダイ類がつけたと思われる歯形の数の多少は、サンゴの成長にほとんど影響を及ぼさないことが明らかになってきた。
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