研究課題
資料収集・分析 : 当初予定していたロシアでの現地調査は諸般の事情により実現しなかったが、別財源で行ったアルマトゥ(カザフスタン)での調査により、ロシア帝政期にヴォルガ・ウラル地域で出版されたカザフ語文献はかなり集めることができた。ロシアの地方都市(オムスク、バルナウルなど)での近年の中央アジア研究の状況や出版物については、現地の研究者とのメールのやりとりや学会参加時の聞き取りにより情報を集めた。また、近年欧米で進んでいるウズベキスタンの地方史研究に関する文献を収集した。成果発表 : 2007年度に行った西カザフスタン調査の成果に基づき、西カザフスタンの歴史が多民族的・多文化的なものでありながら、帝政期のロシア人による研究においても、ソ連時代以降のカザフ人による研究においても、カザフ民族史の枠に押し込められがちであったこと、近年現地の研究者がこの枠を超えてロシアやタタール、バシキールとのつながりを重視する研究を進めていることを指摘する報告を米国の学会で行った。また、厳密な意味での中央アジアに関することではないが、2008年夏のグルジア紛争について論評する機会が多くあり、そこでも、地方の細かな状況を踏まえたうえで国際政治を論じるという、本研究で培った視点を生かすことができた。そして3年間の研究成果に基づき、タジキスタン、カザフスタン、カフカスの地方が文化交流や紛争において果たしてきた独自の役割を論じる報告を、インドの学会で行った。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)
前田弘毅編『多様性と可能性のコーカサス』北海道大学出版会
ページ: 31-58
Central Eurasian Studies Review vol.7, no.2
ページ: 16-22
小杉泰・林佳世子・東長靖編『イスラーム世界研究マニュアル』名古屋大学出版会
ページ: 398-402
世界 11月号
ページ: 54-61
歴史学研究会編『世界史史料第10巻20世紀の世界Iふたつの世界大戦』岩波書店
ページ: 248-249
ロシア史研究 82号
ページ: 61-77