研究概要 |
本研究の目的は、セミパラチンスク核実験近郊住民へのアンケート調査・被ばく証言調査を通し、同地区における核被害の実態を明らかにすることである。同時に、広島・長崎原爆被害との比較検討も行い、両者の異同についても検討する。この目的のため、当該年は以下の調査研究を実施した。 1.2007年8月、セミパラチンスク核実験場北部に位置するAkjar, Kentubek, Koktobe, Malai Sali, Mayskoeの5村で証言収集調査及びアンケート調査を実施した。(研究代表者・研究協力者)。証言に関しては、核実験にまつわる体験、心残りなこと、現在の生活環境に対する要望等を自由に記述してもらった。アンケートに関しては、被災体験、現在の健康状態、被曝の経緯に関する設問を設けた。 2.昨年度のアンケート及び当該年のアンケートの集計を終了した。 3.昨年度に引き続き、広島・長崎被爆証言(朝日新聞実施「被爆60年アンケート調査」の証言)のデータ入力を行い、約8000人分の証言入力を終了した。一部、判読不能文字等の確認が残っているが、ほぼ全データの入力を完成した。 4.昨年度及び今年度収集の被災証言に関しては、現在翻訳作業を継続中である。 5.2005年までに収集したアンケート・証言をデータとし、セミパラチンスク地区住民の健康状態・保持疾患状況及びそれらと被曝線量との相関を検討した。その結果、健康不良及び特定の疾患の発症は、核実験による被ばくが原因である可能性を示唆した。 6.2005年までに収集したアンケート・証言をデータとし、セミパラチンスク地区住民の核実験体験及びそれら体験と被曝線量・爆心地からの距離との相関を検討した。現在ジャーナルに投稿中である。上記5とあわせ、その研究成果は、研究会、国際会議で発表した。
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