1.冷戦後の東南アジア地域秩序の模索 東南アジア地域は、とくに冷戦後、新たな地域秩序の形成を求められている。地域秩序形成には、米国などの域外大国も関与している。大国による秩序は、パワーによって形成される傾向がある。他方、大国ではない東南アジア諸国(ASEAN)諸国は、パワーに依拠して秩序を形成する能力はないし、その意図もない。ASEAN諸国は、地域の秩序原理によって地域秩序を形成しようとしている。本研究は、その土着原理の核となりうるものとして、パンチャシラに注目した。 2.18年度の研究概要 18年度には、(1)パンチャシラの歴史的再検証、(2)パンチャシラの地域的広がり、を検討するために調査・研究を実施した。具体的には、官公庁や軍関連の機関などが発行した関連資料の収集、パンチャシラに関する現地シンポジウムの資料等を収集した。 また、パンチャシラの地域的広がりを調査するために、各国アーカイブスや、東南アジア研究所(ISEAS)等で資料調査・収集等を実施した。 3.18年度の課題 パンチャシラ関連の資料は、膨大な量がある。18年度においては、とくに地域的広がりに関連した資料の収集と整理がさらに必要となった。19年度には、域内各国のパンチャシラ関連資料の解析と整理を行い資料目録などの形で資料集成をも実施する。
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