小売業の中堅企業において、企業の人事担当者および労働組合幹部それぞれに、労働時間を含めた人事労務管理に関するインタビュー調査を実施し、資料収集を行った。企業が、雇用管理・賃金管理上、採用・昇格・昇進について女性をどのように位置づけているかや社員のワークライフバランスへの課題等について、新たな知見を得ることができた。 この成果の一部は、労務理論学会の大会シンポジウム(労務理論学会第16回大会)で報告し、また学会誌掲載論文(「雇用管理・賃金管理の変化とジェンダー平等」(『新・「日本的経営」のその後』労務理論学会誌第16号、晃洋書房、2007年1月所収)として発表した。その後も、企業幹部から長時間労働削減のための興味深い新たな取り組みを実施していることなどの情報を得、今後の調査等の協力依頼を行った。 また、パート労働者を多く組織している労働組合にパート労働者の掛け持ち労働の実態や女性のワークライフバランス実現への課題等についてインタビュー調査を行った。そのうえで、予備的調査を実際にパート労働者に行い、今後の調査に備え調査票の修正を図った。 イギリスのTUCその他のワークラフバランスへの取り組みを示した資料等を、現地で収集した。 なお、本研究課題では、平成18年度に電機産業の企業を事例に調査研究する予定であったが、調査対象を小売業企業に変更した。変更理由は、同業界で人事労務管理の再編が急ピッチで進んでいること、女性が多く働いている業界であって、研究課題に沿った興味深い知見が得られる可能性が高いと判断したからである。
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