研究課題/領域番号 |
18510239
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研究機関 | 岐阜聖徳学園大学 |
研究代表者 |
河原崎 やす子 岐阜聖徳学園大学, 外国語学部, 教授 (80341808)
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研究分担者 |
小林 富久子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (00063751)
平石 妙子 共立女子大学, 国際文化学部, 教授 (80060705)
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キーワード | ジェンダー / オリエンタリズム / アジア系アメリカ人 / コミュニティ / ステレオタイプ |
研究概要 |
本研究がめざすのは、アジア系アメリカ人が歴史的に「オリエンタル」という言説のもとに従属的ジェンダーに位置づけられ抑圧されたことに対して、どのように反応し対処したかを、過去から将来にわたってジェンダー視点から解明することである。 まずオリエンタリズムに関する文献を精査して、アジア系アメリカ人とオリエンタリズムとの関連を歴史的、社会的、文化的な枠組みから確認・理解し、アジア系アメリカ人のオリエンタリズム対抗手段を調査した。次に実際にどのような対処がなされ構想されているか、聞き取り調査に着手した。調査の焦点をアジア系コミュニティに定め、コミュニティのリーダー的立場の人々へのインタヴューを行った。Elain Kim教授を始めとするアジア系アメリカ人の各方面のリーダーたちへのインタヴューからは、さまざまな相違にもかかわらず共通する指摘が多々見られた。ほぼ全員が原点として個人的なオリエンタリズム体験を持つこと、今日オリエンタリズムは衰退ではなく変容して新たな力を得ていることなどは予測された指摘でもあった。さらにいずれもがその払拭への闘いを思考しさまざまな形で展開していることを示唆したが、その多様な戦略にはオリエンタリズムの強固な継続という現実が如実に反映されていた。インタヴューにおいて、肯定的なイメージの創出、カウンターナラティヴの形成、ロールモデルの要請、等身大のアジア系の認知などが今後アジア系コミュニティの取り組むべき重要課題として提起された。 ジェンダー含みのオリエンタリズムがアジア系アメリカ人への強力な対抗言説であり続ける現実と、それに向き合い闘うコミュニティの姿勢は、アメリカ主流社会に向き合うマイノリティ全体にも敷衍できるものであり、今後もその推移は注目すべきであろう。
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