本年度は、本研究に先行し、本研究の土台となっている前回の科学研究費による「非主我的愛の成立基盤としての修道院霊性に関する研究」の成果に基づき、拙著『東西修道霊性の歴史一愛に捉えられた人々一』を知泉書館から6月13目に公刊した。また、本研究に直接関わるテーマとして、カトリック教育学会編集委員長としての立場から『カトリック教育研究』創刊25周年特別企画として「日本における「戦後カトリック教育の歩み」」を企画し、その総括を、8月に発行された目本カトリック教育学会編『カトリック教育研究』第25号に執筆した。さらに東方キリスト教学会のシンポジウムにおいて、「非主我的愛の成立基盤としての修道院霊性に関する研究」の成果を簡潔に振り返りっっ、近代以降の修道霊性史との連続性に論及することを試み、これをもととした論文を「隠修士と共住修道院-その東方的起源と西方的展開について-」として東方キリスト教学会編『エイコーン』誌上に発表した。個人的な論文としては、本研究の最終年度にあたり、近代修道霊性が学校教育の歴史に与えた足跡に関連して、いくつかの論文を発表した。すなわち、清泉女子大学キリスト教文化研究所年報第16号に「『イエズス会学事規程』におけるイエズス会学校」、清泉女子大学人文科学研究所紀要第30号に「近代修道制の展開と世俗的国家」、筑波大学哲学・思想学系『哲学・思想論集』第34号に「キリシタン時代における弓本のイエズス会学校教育」、筑波大学倫理学研究会編『倫理学』.第25号に「近代修道制と女子教育一聖心会学校を中心に」を執筆した。これらは皆3月中に発行された。また、カトリック神学会誌に「修道霊性史におけるイエズス会の特徴と『霊操』」と題する原稿を投稿中である。さらに、日本倫理学会における主題別討議において、カトリック的宗教・倫理教育との比較における公教育を問題とする形で、「道徳教育(あるいは「心の教育」)についての倫理学的検討」を企画し、その報告を論文化し、日本倫理学会編『倫理学年報』第58号で発表した。これも3月に発行された。
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