手を挙げるというような基礎行為は脳と身体と環境の相互作用から形成される。それゆえ、基礎行為は、その詳細が行為の意図によって完全に決定されているのではなく、その都度の身体や環境のあり方に応じて詳細が決まることを明らかにした。また、このような基礎行為の状況依存性の考えを拡張して、手を挙げることによってタクシーを呼びとめるというような生成行為や、基礎行為を組み合わせた複合行為については、多くの場合、行為の意図そのものが状況依存的であり、行為の遂行とともにその内容が次第に明確化してくることを明らかにした。
|