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2007 年度 実績報告書

思考の新しいフェーズとしてのシミュレーションの哲学的考察

研究課題

研究課題/領域番号 18520010
研究機関京都大学

研究代表者

出口 康夫  京都大学, 文学研究科, 准教授 (20314073)

研究分担者 喜多 千草  関西大学, 総合情報学部, 准教授 (10362419)
キーワードシミュレーション / 科学方法論 / 計算システム / 科学的説明 / カオス研究 / デジタル・アーカイブ / 数値計算 / 科学的予測
研究概要

出口はシミュレーションの確立と発展において重要な役割を果たした科学上の業績、具体的にはフォン・ノイマンの衝撃実験(1944年)、E.ローレンツのカオス研究(1962年)などについてケース・スタディを行い、その研究成果を、京都大学大学院文学研究科に属する若手研究者たちと分担してまとめ、オーストラリア・シドニーで開催された国際ワークショップで発表した。この研究で得られた主な知見は以下である。(一)従来の定説とは異なり、フォン・ノイマンによる「史上初」のシミュレーションは電子計算機による計算ではなく、より古い計算システムである、エッカートのパンチカード式計算機による数値計算を念頭において設計されていたこと。(二)その意味で、シミュレーションという手法は、1920年代におけるパンチカード式計算機を用いた(運動方程式から惑星の軌道を求める)天文計算にまで遡ることができること。(三)ローレンツは大気循環を記述する微分方程式を最大限簡略化したことでカオス現象を発見したが、その簡略化は計算の簡素化を目指して行われたのではなく、「現象をより単純にモデル化することで、モデルの予測の精度は下がるが、説明力は逆に増す」という「科学的説明」に関する彼独自の考えに則ったものであったこと。これらの知見はいずれも、従来のシミュレーション観の見直し迫るものであり、海外の研究集会でも大きな注目を集めた。また喜多は、国内のシミュレーション研究者へのインタビュー資料を整理するとともに、シミュレーションに関する一次資料・二次資料のデジタル・アーカイブ化を推進しホームページに随時掲載するとともに、共同研究者が随時資料を閲覧・増補できるシステムを構築した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Ways of Dialethist: Contradiction in Buddhism2008

    • 著者名/発表者名
      Deguchi, Y., Garfield, J., and Priest, G.
    • 雑誌名

      The Philosophy East and West vol.58 n.3

      ページ: 395-402

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 真矛盾主義的一元論-後期西谷哲学の再編成-(上)2008

    • 著者名/発表者名
      出口康夫
    • 雑誌名

      哲学研究 585号

      ページ: 36-60

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ゲーデルとスコーレム-「完全性定理」をめぐって-2007

    • 著者名/発表者名
      出口康夫
    • 雑誌名

      現代思想 35巻3号

      ページ: 164-178

  • [学会発表] Transcendental Character of Scientific Evidence2007

    • 著者名/発表者名
      Yasuo Deguchi
    • 学会等名
      ANU-Sydney-Kyoto Joint International Workshop
    • 発表場所
      Sydney, Australia
    • 年月日
      2007-06-30
  • [図書] 「知識と実在」第三部第二章「活動実在論の擁護-光速度の測定に即して」担当2008

    • 著者名/発表者名
      中才敏郎, 美濃正編
    • 出版者
      世界思想社

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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