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2006 年度 実績報告書

生命倫理的観点からの「老い」に関する日中比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 18520015
研究種目

基盤研究(C)

研究機関広島大学

研究代表者

松井 富美男  広島大学, 大学院文学研究科, 教授 (60209484)

キーワードオキナ / オミナ / 翁文化 / 老いの尊厳
研究概要

本研究の目的は、日本社会と中国社会において「老い」がいかに受け止められているのかを生命倫理的観点から検討して、老い観を中心に日中間の文化的位相を明らかにすることにある。中国文化における老い観に関しては、王官成(長江師範学院教授)と林国著(福建師範大学講師)の協力を得て「老」の意味を明らかにした。その具体的成果ついては、次年度以降に公表する予定である。
日本文化における老い観に関しては、「翁文化の形成」という観点から調査し、一定の成果をあげることができた。その成果の一部を論文の形で公表した。以下はその概要である。
日本の伝統的な老い観を探るためには、中国の漢字文化が移植される以前と、それ以後とで、老い観にどのような変化が生じたのかを知る必要がある。そのために古事記・日本書紀・万葉集などの最古文献に依拠しながら、国学や民俗学などの考証も交えて、無文字文化の老人観について考察した。古代の老人たちは、男ならばオキナ、女ならばオミナと呼ばれ、若者たちから一線を画していた。しかし今日にいわれるような「老いの尊厳」が現れ始めるのは、奈良時代以降である。中世になると、とりわけ院政時代には、翁は神格化されるようになった。これに対して、嫗は、南北朝以降、単独相続制や家父長制の確立と共に徐々に衰退していった。
能楽の「翁」は、能にあって能にあらずといわれるように、神格化された翁像を最も純粋な形で保持している。「老い」を文化として捉えるときには、こうした視点も重要である。しかし、これがそのまま翁文化になったのではない。江戸時代になると、このような神格化された翁像から知者や教養人としての翁像への転換がはかられる。こうして近世の翁文化が開花したのである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 日本の老人観-翁文化の発生-2007

    • 著者名/発表者名
      松井 富美男
    • 雑誌名

      広島大学保健管理センター研究論集 23(印刷中)

      ページ: 不明

  • [雑誌論文] 日本人の老人観-老い文化の底流を求めて-2006

    • 著者名/発表者名
      松井 富美男
    • 雑誌名

      広島大学大学院文学研究科論集 66

      ページ: 17-33

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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