研究概要 |
・第一次サイバネティックス(ウィーナー・アシュビー)を中心に、歴史的背景を踏まえつつ、その理論的な意義の考察、理論的核心の抽出作業に取り組んだ。ウィーナーについてはCollected Worksを中心にサイバネティックスの成立過程を追うとともに、ウィーナーのサイバネティックス思想の意義を確定しようとした。アシュビーについてはDesign for a brain : The origin of adaptive behavior, Introduction to Cyberneticsを中心にウィーナーのサイバネティックス思想が、アシュビーにどのように受け継がれ、またどのような変容を受けるに至ったのかを中心に研究を進めた。 ・情報社会の知のパラダイムの最終的な定式化の作業自体は平成20年度の研究課題とするが、第一次サイバネティックスの研究と並行して、その準備作業を進めた。一つはメディア論の学説史の整理である。情報社会の歴史を定式化するためにもメディア論というディシプリンの批判的サーベイは必須の作業である。にもかかわらずわが国のメディア論研究の現状はあまりにも貧弱である。イニスから始まるメディア論の理路をマクルーハン、オング、ベンヤミン、キットラー、デリダに至るまで哲学的な見地から跡づけた。またルーマンの社会システム論が持つ思想的な意義を哲学的な見地から整理し、その成果を『<メディア>の哲学-ルーマン社会システム論の射程と限界-』という書として纏めた。
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