研究概要 |
本年度当初の計画(平成19年度科学研究費補助金交付申請書)に従って研究を進め、次のような成果を得た。 (1)昨年度から準備を進めてきた論文"Le'droit de vivre en paix'dans le preambule de la Constitution japonaise:un developpement contemporain du pacifisme des Lumieres"を完成させ、"Le pacifisme au XVIIIe siecle etson apport a la philosophie politique d'aujourd'hui"というタイトルで第12回国際啓蒙主義学会(7月8日から15日までフランスのモンペリエ市で開催)で報告した。そして、この国際学会での討議を通してこれまでの研究をまとめるとともに、新たな研究の方向性を確認した。それは、「人格の相互性(reciprocite)」という観点の更なる哲学的解析の必要性と、その先にある「教育」の問題である。 (2)第4回国際憲法学会世界大会(東京、1995年)の提言"Si tu veux la paix, prepare la paix et cultive le droita la vie en paix."(「汝、平和を欲すれば、平和に備え、平和的生存権を培え」)の"cultiver le droit a la vie en paix"(「平和的生存権を培え」)の"cultiver"について、その哲学的本質と今日的意義の検討を試みた。ルソーとカントの教育哲学を基に「人格の相互性」という観点に着目しつつ、まず現代日本の教育問題を手がかりに、「教育の本質」の解明に着手した。この研究は、次の二つの成果として結実した。(1)"Ehi philosophischer Approach zum Wesen der heutigen Erziehungsprobleme in Japan"というタイトルで、東京のゲーテ・インスティトゥートのセミナーで講演した。(2)「新時代のための新たな倫理教育の必要性とその教育原理の研究」というタイトルの論文を、(社)尚志会の会報に投稿した。同会誌は、平成20年度刊行予定である。
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