研究課題
年度当初に申請書に記した計画((1)・(2)・(3))に従って研究を進め、次のような成果を得ることができた。(1) 総合人間学会第3回研究大会(6月に東京で開催)において「人間はどこにいくのか?-カント永遠平和論の視座から」というテーマで口頭発表した。そこでの討論を基に、平成18年度から本年度までの研究を整理し、総括するとともに、研究の最終段階に向けて考察を進めた。(2)8月にドイツでDetlef Thiel博士(19世紀ドイツ思想史研究の権威)と面会し、カント平和論の今日的意義について検討を加えた。これによって、「平和的生存権」の問題は究極的に「教育」の問題に帰着するという提言(「汝平和を欲すれば、平和に備え、平和的生存権を培え」深瀬ほか編『恒久世界平和のために-日本国憲法からの提言-』勁草書房、1998年、91頁)の思想史的意義を確認するとともに、「平和的生存権を培え」という提言の教育学的意味・意義の解析を進めることができた。(3)上記(1)・(2)の研究から、「平和的生存権」の問題は「人格の相互性」の問題に帰着すること、この問題は根本において「教育の本質」すなわち「人格教育」の問題と一体であることを明らかにした。さらに、この論点は深刻な現代の教育問題を考える上でも有力な手がかりになり得るはずであるという新たな課題を浮き彫りにした。以上が本年度の研究成果である。最後に、本年度は、これまでの3年間の研究成果が著書や印刷物の形で国内外に次々と刊行されるという幸運に恵まれた点をとくに付言しておきたい(「11.研究発表」参照)。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
総合人間学(総合人間学会編) 第3巻(印刷中)
高専ドイツ語教育(高専ドイツ語教育研究会編) 第10巻
ページ: 73-86
Recht und Frieden in der Philosophje Kants : Akten des X. Internationalen Kant-Kongresses, Bd. 4 (Walter de Gruyter, Berlin)
ページ: 551-562
新しい出発((社)尚志会) No. 13
ページ: 93-112
Kant, les Luwieres et nous (Maison Arabe du Livre, Tunis)
ページ: 301-315