研究課題/領域番号 |
18520034
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
西脇 常記 同志社大学, 文学部, 教授 (50108966)
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研究分担者 |
ウイツテルノ クリステイアン 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (20333560)
梶浦 晋 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (80293950)
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キーワード | 漢語大蔵経 / トルファン / ベルリン・トルファン・コレクション / 版本大蔵経 / 契丹版 / 金版 / 仏典扉絵 |
研究概要 |
本年度、代表者の西脇は昨年に引き続いて11月23日から12月9日の間、ドイツ・ベルリンにおいてトルファン文書を調査した。インターネット上(トルファン研究所からのCh/UとIDPからのCh)の画像に抜けているもの、画像からは詳細なところが分からないものを出発までに抽出し、前もってベルリン図書館に連絡して用意してもらった。Ch(漢語文書)を画像上に載せる仕事は10月末に一応終わったが、完全な形では終わっていない。本研究との関係でいえば、仏典版本研究は進んでいるのに、その成果を利用する段階に達していない点であろう。画像に付随されている説明文は既存の3冊の漢語仏典断片目録の記述をそのまま載せている。帰国後、ベルリン側には我々が同定できた二百数十枚のリストと簡単な説明文、つまり開宝蔵系、契丹版あるいは江南系かと言った大蔵経の版本の種類等を記したものを渡した。 またインド美術館(2006年12月からアジア美術館の1部門となった)でも調査をした。ここの所蔵品はインターネット上には入っておらず、また目録もないので1つずつ確認する必要がある。その努力の結果、版本仏典の扉絵に大きな発見があった。扉絵は仏典と一体であるが、仏典研究者にはそれを文字史料とする意識は少なく、また美術史家がとりあげることもなく忘れられた存在であった。しかし今回の調査で契丹版の護法神王を描いた扉絵や法華経の扉絵を発見した。これらの成果は近々発表するつもりである。また目録作業もすすめつつある。 協力者のウイツテルン・クリステイアンは、電子仏典を利用して密教関係仏典テキストの研究を進めた。梶浦晋はベルリン・トルファン文書をより深く理解するために、国内に所蔵されるトルファン出土の版本の調査にあたった。またこれらの成果の一部を9月、上海で開催された学会で発表し、中国の学者との意見交換を行った。
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