ベルリン・コレクションの版本データーベース化ほか、目録の完成に向けての作業は現在最終段階である。その作業の中間的な報告として、西脇はこれを用いて「返還文書から見たトルファン仏典版本の概観」を作成した。視覚的側面を利用して版本理解を深めることをねらい、多くの図を載せたものである。藤枝氏や竺沙氏を始めとする、これまでの研究にはベルリン・コレクションはほとんど利用されていないので、10世紀以降のアジア世界における文化交流の考証に寄与するという、本研究の大目的に向かって一歩を印したかと考える。作業の完了した時点では、目録の充実とそれを通した研究の提示という二面において、新たな多くの研究に貢献できるはずである。
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