本研究課題は十二世紀末までの日本仏教各宗を対象としているため、浄土宗は研究対象外である。しかし、浄土宗諸師の新羅・高麗仏教認識を整理しておくことが今後の研究に急務と考え、「日本天台宗と浄土宗に於ける新羅元曉認識」と題して発表した後、本研究の準備段階である目録整理を行った。目録整理の結果に関して 1「一二世紀末までの新羅・高麗仏教に対する認識研究の手法と意義」(日本宗教学会発表大会) 2「十二世紀末までの日本仏教各宗における新羅・高麗仏教の影響について」(日蓮宗教学研究発表大会) 3「十二世紀末までの日本仏教における新羅・高麗仏教の影響-研究準備段階としての目録類整理」(東アジア仏教研究会発表大会) 以上の三学会で口頭発表を行い、1に関しては論文として発表し、2・3に関しても2007年内に研究誌に掲載予定である。 目録整理の過程で明確となったことは、今まで活躍年がはっきりしなかった新羅僧を8世紀中頃を基点に区分できるということ、十二世紀末までを研究対象としていても、江戸時代末までの全ての目録整理が必須であるということ、また善道・観念・恵観・慈行・源清等の新出の新羅僧・高麗僧、及び新出の章疏が多く見られたということである。
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