初期ギリシア哲学および医学における身体観の思想史的展開を、知の成立の問題との関わりに注目しながら考察した。とりわけヒッポクラテスからペリパトス派にいたるまでの哲学と科学の対立・連携の中で、身体および魂の相関性の問題を踏まえ、身体的調和が知性的活動と結びついた「病い」として強調されてきた「メランコリア」概念を中心にとりあげ、「病い」とは何かという本質的問いかけを射程にいれつつ吟味した。また、いくつかの初期ギリシア哲学に関する研究書、およびガレノスの著作の翻訳作業を進め、関連領域の諸議論をより広範囲に多角的な視野で捉え直そうと試みた点が本研究の成果である
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