研究概要 |
本年度は明治末から昭和初期の音楽関係の雑誌のうち、『音楽新潮』の講読、『音楽世界』『音楽界』の講読とデータベース化を進めた。『音楽世界』『音楽界』は膨大な分量のため、データベース化は現在も進行中。 また、戦前に着手され、戦後に出版された、山井基清(1885-1970)の『催馬楽訳譜』『風俗訳譜』、林謙三(1899-1976)の『雅楽-古楽譜の復元』『東アジア楽器考』、芝祐泰(1898-1982)の『五線譜による雅楽総譜』などの研究の再評価を行った。分析の結果、何をもって「復元」とするか、つまり「復元」の理念は、明治生まれの研究者、演奏者のそれと、特に、1980年代以降の流れのそれとは、質的にかなり異なることが明らかになった。現在、その結果を執筆中(6月脱稿、2009年3月刊行予定)。 一方、2007年12月に上海で行われた国際伝統音楽学会、東アジア研究部会の会議(A Meeting of Study Group for Musics of East Asia, ICTM)に参加し、明治末における雅楽に関連した新しい「日本音楽」に関する発表を行い(次ページ参照)、東アジアにおける伝統音楽の活性化に関すると意見交換を行った。2008年5月には、中国、西洋、日本における雅楽の復元研究に関するシンポジウムと、それに基づく、中国楽器での雅楽の復元演奏が予定されており、参加する予定。
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