本調査は、(1)蔵書史資料の所在情報目録の作成、(2)資料内容についての分析、報告、(3)周辺資料の収集と情報収集、(4)主要情報のデジタル化と基礎情報の提供、(5)米国内での追加調査、及び調整作業、研究報告を主要な柱として活動している。 (1)の蔵書史史料の所在情報に関しては、昨年度末に所在情報も含めて刊行した著書をもとに、関係機関からの情報収集を進めた。(2)の資料の内容の分析については、メリーランド大学の蔵書史史料、及び米議会図書館の蔵書史史料の分析、追加調査を行い、一部は論として公表した。(3)周辺資料の収集と情報収集では、日本語蔵書史に深いかかわりのある書籍取り扱い業者を中心として資料収集を行い、バーモント州のチャールズ・タトル出版や日本の丸善、紀伊国屋等からの資料収集を行った。(4)については、こうした蔵書史資料の情報の長期的な基礎情報を提供するための研究会「リテラシー史研究会」をたちあげ、会誌を発行し、インターネットを通して研究協力者を得つつ、より広範な情報提供が可能な環境を整えることができた。また、日本国内で行われた二つの国際学会において調査に基づいた報告を行い、情報の発信、公表につとめた。(5)の米国内での追加調査については、オハイオ州立大学の日本語蔵書史を現地で調査し、関係資料を収集できた。また、米議会図書館についても追加調査を行った。そして、米国の日本語蔵書史との関係を検討するために、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の日本語蔵書史調査を行って、資料収集につとめた。
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