研究概要 |
「大東亜戦争期における本居宣長受容の総合的研究」について、3年目の20年度は次の作業および発表を行なった。 1.「同時代思想としての国学」をテーマとして、幕末と大東亜戦争期の思想史的共通性に論究する論文を執筆した。 2,「近代宣長像の形成と変容」をテーマとして、「松坂の一夜」と敷島の歌の伝播および読み替えの様相を追った。 3.「宣長研究と時局」をテーマとして、大東亜戦争期に刊行された国学研究書および宣長研究書を調査し、時局に影響を受ける過程を追究した。 4,「学統観の変遷」をテーマとして、荻生徂徠と平田篤胤の国学史上の関連性を追究し、四大人観の形成とその意義を考察した。 5.宣長の受容を明らかにするために、同時代の国学者村田春海についての検討を行い、「村田春海における和歌と漢詩」を発表した。また、四大人観を相対化する視座を提示する「織錦門人の分脈」を検討し、「江戸派の血脈」として発表した。
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