「大東亜戦争期における本居宣長受容の総合的研究」は4年間の研究成果として、平成21年8月15日にぺりかん社より『本居宣長の大東亜戦争』を出版した。当該書は「大和魂」「武士道」「日本精神」など、国学が軍国主義のイデオロギーとして、同時代の思想や新聞・雑誌などのジャーナリズム、また教育現場に大きな影響を与え続けた状況を多くの同時代資料を用いて実証することを目指した。また、宣長が時局に利用され曲解されるシステム、歪められるメカニズムを検証し解明することを目論んだ。以下、目次により、その内容を示す。序論「本居宣長の大東亜戦争」、第一章「同時代思想としての国学(上)-幕末を経由して大東亜戦争期に至る」、第二章「同時代思想としての国字(下)-日本精神論の流行と変容」、第三章「近代宣長像の形成と変容(上)-「松坂の一夜」伝説の成立」、第四章「近代宣長像の形成と変容(下)-敷島歌の解釈の変容」、第五章「宣長研究と時局(上)-序文に見る時局発言をめぐって」、第六章「宣長研究と時局(下)-煽情的宣長論をめぐって」、第七章「学統観の変遷(上)-平田篤胤への継承性」、第八章「学統観の変遷(下)-徂徠学との関連」。 本書に対して、成田龍一氏『神戸新聞』平成21年9月13日付書評、友常勉氏『週刊読書人』平成21年10月2日付書評、安田敏朗氏『図書新聞』平成21年12月26日書評、山下久夫氏『日本文学』平成22年3月号書評に、それぞれコメントが寄せられた。
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