研究概要 |
1,三カ年の研究期間の二年目にあたる平成19年度は、平敷屋朝敏の四編の擬古文物語「若草物語」「苔の下」「万歳」「貧家記」のうち、「苔の下」「万歳」の読解・注釈作業が中心となった。前年度からの基礎作業を続けている段階であるが、先行研究に付け加えられるものが少なからずあった。 2,「苔の下」「万歳」の読解・注釈作業においては、まずこれらの本文(沖縄県立博物館蔵本を底本とする)を電子テキスト化し、先行する注釈(仲原裕によるもの、玉栄清良によるもの)を併記し、さらに萩野自身の注釈を加えることにより、最終的に現段階での「平敷屋朝敏擬古文物語・注釈集成」となることをめざしながら作業を進めていった。 3,擬古文物語を研究するための土台として「古文」すなわち中古中世の王朝物語文学について知見を広める必要があるが、本年度は、朝敏作品の注釈のほか、何編かの中古中世王朝物語を電子テキスト化する作業を行い、次年度の研究の準備作業とした。また、その成果を生かした論文「〈身〉を〈心〉とする女君たち-『浜松中納言物語』『松浦宮物語』の転生と影-」が『日本文学』2008年5月号に掲載されることとなっている。
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