研究概要 |
本課題の研究代表者・研究分担者は、研究協力者2名(川端咲子・清水(森谷)裕美子)とともに、大阪府立大学所蔵の椿亭文庫(日本近世演劇を中心とする土田衛氏旧蔵の文献資料)の整理にあたった。平成18年度は、これまで整理がなされていなかった番付(約2,200点)・絵づくし(約1,500点)の点検・整理を遂行し、収納についても、鳥の子紙・中性紙封筒を使用して保存する作業を行ない、資料の劣化を防ぐべく図った。平成19年度も引き続き、一点ずつのデータ整理を行う予定である。 この整理作業により、立命館大学アート・リサーチセンターによって公開されている椿亭文庫(一部資料のみ)のデジタル・アーカイブ目録の不備を補うこととなり、立命館大学のデジタル・アーカイブとの連携も進んだ。これは椿亭文庫利用者の便に供する結果となり、学外からの閲覧利用者数が増加した。 また、椿亭文庫の個別の資料研究および紹介を行った。椿亭文庫の中でもその特色となっている歌舞伎関係の資料を取り上げ、研究代表者は歌舞伎脚本である台帳の翻刻・解題、研究協力者2名は上演資料である絵づくし・番付の翻刻・解題を活字化した。翻刻・解題にあたっては、椿亭文庫所蔵の役者評判記・絵づくし・番付・劇書等を参考としたが、これは本課題の推進により、資料の活用が可能となったものである。活字化した資料は、いずれも従来未紹介のものであり、今後の近世演劇研究の進展に稗益すると考えられる。
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