研究概要 |
本課題の研究代表者・研究分担者は、平成18年度・19年度に、日本近世演劇の研究者である協力者2名(川端咲子・森谷(清水)裕美子)とともに、大阪府立大学所蔵の椿亭文庫(日本近世演劇を中心とする土由衛氏旧蔵の文献資料)の整理・目録作成にあたった。18年度は主として書籍(約450点)の整理を行い、19年度は、番付(約2,200点)・絵づくし(約1,500点)の整理を行った。この作業により、外部からの椿亭文庫利用者も増加し、資料の恒久保存も確保された。 また、目録作成の過程において立命館大学アート・リサーチセンターによって公開されている椿亭文庫(一部のみ)のデジタル・アーカイブにおける刊行年代推定の誤りや、複製資料の存在を発見し、データをより正確なものとすることができた。椿亭文庫の資料には他所に所蔵されないものも多いことを確認し、その重要性を再認識する結果となった。 一方、椿亭文庫所蔵の資料研究のための研究会を立ち上げ、毎月1回大阪府立大学において研究会を開催し、研究代表者・研究分担者・研究協力者ばかりではなく、学外の参加者も加わって、18年度は「法界坊」、19年度は「忠臣蔵」関係の資料を活用して、演出等に関して多角的に検討した。その成果として、研究代表者および研究協力者は、これらに関わる歌舞伎台帳・劇書・絵づくしの資料紹介を活字化した。これらの資料は、いずれも未紹介、かつ関連性を持つものであり、日本近世演劇の総合的研究に繋がるものである。
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