研究課題/領域番号 |
18520134
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
小嶋 知善 大正大学, 文学部, 准教授 (00365850)
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研究分担者 |
江藤 茂博 二松学舎大学, 文学部, 教授 (80213552)
藤村 耕治 法政大学, 文学部, 准教授 (00328915)
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キーワード | 戦後文学 / 「近代文学」派 / 解釈学的批評 / 文学研究の成立 |
研究概要 |
本研究は大学における近現代日本文学研究の方法の確立に重要な役割を果たした「近代文学」派に着目し、近現代日本文学研究の問題点を明らかにしようとするものである。雑誌創刊同人七人のうち埴谷雄高をのぞく六名は、後に大学教員として近代文学を講じている。雑誌「近代文学」で戦後の文壇をリードした彼らは、近現代文学が大学で学問として本格的に講じられるようになる段階で重要な役割を担った。彼らが開拓した研究スタイルや関心の領域は、現在の近現代文学の研究の方法にも影響を与えている。そのため、彼らのアカデミックでの活動の精査は、現在に至る近現代文学日本文学の研究スタイルの究明につながると考えられる。 本研究は、昨年度以来「近代文学」派の評論や研究を、次世代の研究者がどのように評価しているかいう視点を取り入れ研究を行っている。19年度については、法政大学教授勝又浩氏の証言を得た。「近代文学」派の評論家小田切秀雄は法政大学で長年教鞭を執っていたが、勝又氏からは、小田切秀雄の授業内容やその研究方法を伺えた。また、同氏からは、「近代文学」派の評論家たちの研究や関心が及ぱなかった領域についても伺った。インタビューの内容は活字化およびデータベース化を行う。また、雑誌「近代文学」の第一次同人拡大に際して野間宏・三島由紀夫らとともに同人となった久保田正文についての調査研究を行った。久保田は大正大学で長年教鞭を執っている。久保田の著作を調査研究していく段階で、雑誌発表のまま単著にまとめられずに埋もれている重要な評論などが数多くあることが判った。久保田の生前の単行本未収録の短歌・評論・エッセイなどを集成したものを20年度に刊行すべく(大正大学出版会から刊行予定)、収集・分類・編集を行った。
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