(1) 本研究は、大学における近現代日本文学研究の方法の確立に重要な役割を果たした「近代文学」派に着目し、近現代日本文学研究の問題点を明らかにしようとするものである。雑誌創刊同人七人のうち埴谷雄高を除く六名は、後に大学教員として近代文学を講じた。雑誌「近代文学」で戦後の文壇をリードした彼らは、近現代文学が大学で学問として本格的に講じられるようになる段階で重要な役割を担った。彼らが開拓した研究スタイルや関心の領域は、現在の近現代文学の研究の方法に少なからず影響を与えている。彼らのアカデミックでの活動の精査は、現在に至る近現代文学日本文学の研究スタイルの究明につながると考えられる。 (2) 本研究は、初年度以来「近代文学」派の評論や研究を、次世代の研究者がどのように評価しているかという視点を取り入れ研究を行っている。その方法として、近現代文学の研究者に直接インタビューをする方法を取っている。
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