平成21年度は、前年度に引き続き、様々な地方誌等も探索・活用し、学僧の学芸・学問的活動の実態の把握に努めた。例えば、学僧たちがどのような資料を通じて歌道に親しんでいたか、それらは学僧たちが執筆した注釈書類にどのような形で反映したのか。後世にはそれらは諸宗派の談義資料でどのような変容を遂げつつ、継承されていったかなどの諸問題について解明に努めた。 その中で、室町物語「岩竹」について、同趣の説話が栃木県那須地方に江戸時代前期から伝承されていたこと、その基盤には天台系の修験道寺院の存在があること、水戸藩とも関連性を有していることなどを突き止めた。これらの研究成果は小論として公表した。そのほか、具体的な調査としては、宮城県図書館に所蔵される郷土資料に焦点を絞り、東北の仏教教導に関する書承・口承資料の調査を行った。また、説法談義に関連深い原本の調査と収集を行った。
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