研究概要 |
アメリカ文学の傑作とされる『ハックルベリー・フィンの冒険』(Adventures of Huckleberry Finn,1885)をめぐる人種主義論争を、20世紀末アメリカ合衆国の「文化戦争」の中において考察し、多文化社会を迎えた現代アメリカ社会における本作品の受容の変化とその意味を明らかにしようとする。 本年度の実績は以下のとおりである。 1)作者トウェインとアメリカ南部とのかかわり、それも奴隷制度下のミズーリにおける人種主義的黒人観とのかかわりを考察するため、トウェインが少年時代をすごしたハンニバルの町の実相を「奴隷のいる社会」という視座から検討した。日本マーク・トウェイン協会大会シンポジウム「マーク・トウェインと南部」において報告(2007.10.12)。 Terrell Dempsey, Searching for Jim: Slavery in Sam Clemens's World(Columbia: University of Missouri Press,2003)を援用した上記報告を加筆修正し、『マーク・トウェイン研究と批評』第7号(南雲堂、2008)に掲載(10-23頁)。 3)上記以外に、本研究課題に必要な関連図書ならびに学位論文、およびNew York Timesにおける関連記事(データベースから)の入手に努めた。
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