(1) 目的 この研究は、個人的感情・感性・観察・考察と、それを他者と共有したいと願う欲求の間をつなぐものとしての書かれたもの(手紙や個人の記録、そして出版物)を考察することである。 (2) 資料 イギリス18 世紀の人々が残している手紙・日記などの記録と小説などの出版物。 (3) 研究内容のポイント 男性女性に関わらず、この時期の人々は、感受性を非常に意識し、自分や他人のたどってきた道を振り返り記録し、人生の物語を語ることによって、他者との繋がりを見出したり構築していったりしようと努める。この傾向を、sentimentとsociability、sensibilityとcompassionを軸にして、文学の世界と慈善の場でとらえる。この時期に特徴的な、小説の興隆、出版市場の拡大、慈善活動の組織化とともに、膨大な数の個人の間での手紙の遣り取り、人生を記録することへの執着を、広い文化的文脈に置いて理解することに努める。個と社会、文学と現実の相互関係を探る研究でもある。
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