研究計画の最終年度にあたる本年度においては、過去3年間の総括と次年度以降における新たな発展をめざして具体的な活動を行った。前者については、来年度東京の駒場で開催される日本英文学会におけるシンポジウム充実のための準備に多くの力を注いだ。日本英文学会における成果発表は、当研究計画が当初よりめざしていたところであり、その意味では、当研究計画は当初の目標を達成したことになる。シンポジウムは、「小説の全体性」という表題のもと行われるが、この表題こそは、当研究計画が最終的に到達したヴィジョンでもあった。したがって、うえに挙げた後者については、このヴィジョンを出発点として、インド系英語作家の自伝的小説をめぐるさらなる研究がなされることになる。具体的には、いま現在の基盤研究(C)をワンランクうえの基盤研究(B)に格上げすることをめざして、赤岩と栂以外の研究協力者を募り、基盤研究(B)の規模に見合う研究計画を作成した。核となるのは、赤岩と栂が「自伝的」及び「インド的」というヴィジョンのもと続けてきた研究にほかならないが、新しい研究計画においては、赤岩と栂のそれぞれが新規の研究協力者のサポートを受けることになる。そのうえで、赤岩と栂は、「自伝的」及び「インド的」というヴィジョンが指し示す研究計画を完成させることになる。新たな研究協力者は、4人であり、それぞれに然るべき研究実績を持った優秀な人材である。上記シンポジウムにおける結果が次の研究計画の出発点となるだろう。
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