研究概要 |
1840年代、50年代のアメリカ禁酒小説のテクストに加え、Catherine Maria Sedgwick, E.D.E.N.Southworth, Augusta Evansらの入手困難なテクストを、インターネット経由での古書市場、および米国出張により米国各地の図書館でコピーして入手することができた。研究書についても、めぼしいものを収集することができた。特にハリエット・ストウに関する文献を多数入手できたことは今後の計画推進上、意義深い。現在、収集した資料を研究資料として活用するためのリスト作りに取り組み中である。 資料の分析については、今年度は「アンクルトムの小屋」を中心とするストウの作品分析を軸に展開した。その成果の一端は、研究代表者が編集した『(改定増補版)新世紀アメリカ文学史』(英宝社)の中で、ストウの禁酒小説を編集し、解説・注釈とともに掲載したことに表れている。同時にストウの他の小説作品、家庭論、女子教育論についても分析を進めている途中であり、同時代の女性作家の作品分析の結果を総合して、所期の目的を達成したいと考えている。 また、禁酒/感傷小説の中心的モチーフである「依存」のテーマに関しては、大阪大学英文学叢書弟五巻のテーマとして採択され、研究代表者が共同編集の任を担うことになった。同書は平成20年の秋に出版される予定である。 さらには、本研究の成果を広く一般に還元する試みとして、大阪大学懐徳堂講座の平成19年度の講座で「飲酒/禁酒のアメリカ文学」と題する連続講座を担当することになっている。
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