研究概要 |
Lucius M SargentのThe Temperance TalesやMaria L BuckleyのEdith Moretonをはじめとするアメリカ禁酒小説のテクストを主としてニューヨーク公立図書館でコピーするなどして入手につとめた。同様に、Catherine Maria Sedwick, Augusta Evans, E. D. E. N. Southworthらの入手困難な感傷小説テクストも相当数入手できた。目下、それら資料の分析を鋭意実行中である。また、今年度は大学院のクラスで禁酒小説を取り上げ、多くの作品を読み分析した。なかでも「禁酒小説と女性のモチーフ」に焦点を当て、興味深い分析ができたことは収穫である。 研究成果の発表については、禁酒/感傷小説の重要モチーフである「依存」をテーマにした論集を大阪大学英文学叢書第五巻として共同編集して出版した。その中で研究代表者は、「共依存」の視点から、禁酒小説と感傷小説の双方に見られる「涙する少女」のモチーフの持つ意味を考え、両者の接点を抉り出す論文を書いている。 さらに、バリエット・ストウの『アンクル・トムの小屋』を、リグリー、セント・クレアという二人の主要人物に即して禁酒小説の視点から読む作業を続けており、その成果の一端はすでに論文にまとめられている。近く、しかるべき媒体に発表する予定である。
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