研究概要 |
今年度は、主として第2共和制成立(1848)以降のヴィオレ=ル=デュックの活動、すなわち晩年の活動を明らかにする予定であった。調査対象の下記の文献および、フランス国立図書館の蔵書を綿密に検討した結果、後述の成果があった。 1.Catalogue des livres composant la bibliotheque poetique,1843.(書誌) 2.Bibliotheque de M. Viollet le Duc.1re partie.,1849.(蔵書売り立て目録) 3.Bibliotheque de M. Viollet le Duc.2e partie.,1853(蔵書売り立て目録) 第1は、上記2の1849年の蔵書売り立て目録No.362(p.32)に記載されているJudith et David, tragedies. Par monsieur L*** avocatは、フランス国立図書館の蔵書目録ではヴィオレ=ル=デュックの共著者あるいは共編者として記載されているが、アルスナル分館所蔵本(ARS GD-20977)を検討した所、ヴィオレ=ル=デュックの蔵書票(exlibris)があるのみで編集に関する関与は認められないことを確証したことである。 第2は文学史上ではこれまで注目されていなかった1819年から1820年にかけて発刊された文芸雑誌『リセ・フランセ』(Lycee Francais)にヴィオレ=ル=デュックの作品を数点発見したことである。 これらは、これまでヴィオレ=ル=デュックに関する文献では全く言及されていなかったことであり、小規模ではあるが重要な成果であると考えている。
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