研究概要 |
本研究の目的は、コンピュータを利用し、『カンタベリー物語』について、2つの代表的な写本と2つの代表的な刊本を取り上げ、4つのテクストを対応させたコンコーダンスを作成し、Chaucerの言語研究及びtextual criticismに貢献することである。写本は、Hengwrt(以下、Hg)写本とEllesmere(以下、El)写本を、そして刊本は、Hgに依拠したN.Blake(1980)とElに依拠したBenson(1987)を取り上げた。 平成18年度においては、残りのコンコーダンスの作成、The Man's of Law's TaleとThe Wife of Bath's Prologue and Taleに関して、上記2写本及び2刊本に基づいて、包括的な校合コンコーダンス、各種語彙リストの作業を終えた。テクスト生成及び編集過程を一層客観的・網羅的に示すことが可能になった。Oxford大学のT.Hoad教授を訪問し(平成18年9月)、作業しているコンコーダンスデータについて、指導助言を受け、有益な情報を得た。 上記のコンコーダンスは、Stubbs(2000)のCD-ROM及び関連データに大きく依拠している。国際的連携の一環として行われた。平成14年度のGeneral Prologueのコンコーダンス(Jimura, Nakao, Matsuo, Blake, and Stubbs(2002))、平成15年度のThe Knight's Tale (Nakao, et al.2004)、平成17年度のThe Miller's Tale, The Reeve's Tale (Nakao, et al.2006)のコンコーダンス及び両写本のワードペア網羅的リストの作成に続くものである。 2写本と2刊本の言語特徴を網羅的に検出できることで、チョーサーの言語の研究を大きく発展させるものと期待できる
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