本研究の目的は、英国ルネサンス期の書籍出版の歴史的文脈のなかでシェイクスピア劇及び同時代の戯曲の出版状況を調査分析し、広義のエリザベス朝演劇(エリザベス一世からチャールズ一世時代までの演劇)の出版のありようを実証的に記述することである。併せて、本研究の調査で得られた知見に立脚して、シェイクスピアの初期版本(『リチャード二世』、『ヘンリー四世』、『ヘンリー五世』、『リア王』その他の四つ折本、及び第1二つ折本のテクスト)が演劇史的にいかなる意味をもつかを明らかにする。本研究は、筆者のもう一つの研究課題である英国ルネサンス期の演劇統制史研究と密接に関連している。最終的には、統制史研究の中に戯曲出版史の研究成果を組み込む予定である。
|