アレン・テイトのふたつの伝記、『ストーンウォール・ジャクソン伝』と『ジェファソン・デイヴィス伝』、およびライトルの『ネイサン・ベッドフォード・フォレスト伝』は、対象となった人物の生涯や業績、人物像を描きだす以上に、それぞれ作者テイトやライトルについて多くを語るものとなっている。そこから浮かびあがってくるのは、両者の旧南部の伝統への愛着と、産業化された北部社会およびそこでの人間のあり方への批判であり、その意味で両者の伝記作品は、南部文芸復興初期におけるモダニズム=近代批判のひとつの典型的なありようを示すものであった。
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