研究課題
基盤研究(C)
ブライアン・メリマンの詩「真夜中の法廷」を発表形式で三分の一ほど読み進めた。韻律・統語分析を行い、最終的に日本語による解釈をした。各自の関連研究の概要は以下のとおりである。19世紀アイルランドの詩人、ジェイムズ・クラレンス・マンガンが、アイルランド語から翻訳した英詩について、アイルランド語の原詩と比較することにより、アイルランド語の詩をマンガンがいかに英詩に反映させたかなど、翻訳の可能性を探った。(荒木)Brian Merriman(1749-1805)のThe Midnight Courtに影響を与えた作品として、W.B.YeatsがJonathan Swift(1667-1745)の詩篇"Cadenus and Vanessa"を挙げていることがわかったので、スウィフトの他の作品も視野に入れて資料収集、文献の精読を継続して研究を行った。(池田)3年間にわたり研究を続けてきたアイルランド語の現代詩人モーイラ・ヴァッカンツィーの哀歌について、本年度は伝統の発展という角度から特に同時代の詩人であるマールチン・オジラーインとの関係に着目して研究を進めた。さらに、自由詩という観点を論じるために韻律の資料精読にも着手した。(春木)アイルランド語強勢詩歌の理論的研究と伝承の実態の調査を行った。エラハタス(於デリー)でアイルランド語強勢詩歌の表象と評価の現状を調査した。(菱川)マシュー・アーノルドとW.B.イェイツによって形成された「ケルト」観は、いまなお、影響力が大きい。彼らは、モラル・フォースによる英愛の関係改善を求め、文化的側面から肯定的に見た「ケルト」という言説を成立させたが、とりわけイェイツが、ユナイテッド・アイリッシュメンによる1798年の武装蜂起の再現を危惧する立場から、それをめぐる物語歌の好戦的な調子を減じ、同時に、アーノルドに論駁する過程でアイルランド側からケルトを主体的に語る論理を創案し、後の「ケルト復興」に途を開いた点を考察した。(谷川)中世から近代初期にいたるイギリスのアイルランド政策との関連から、アイルランド詩とイギリス詩を考察した。特に形式、内容の両面から、それらの相互関係を研究した。(岡村)アイルランド語不規則動詞の方言差による発音の違いを調べた。その共通核となる発音を、標準綴り(An Caighdean)と中央方言(Larchanuint)に比べ、方言による離れ方を明らかにした。(梨本)
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天理大学 外国語教育-理論ろ実践- 33
ページ: 51-64
文化学年報 26
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Journal of Irish Studies, Tokyo : Shichigatudo 21
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Koganei Journal of the Humanities(小金井論集) 3
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